第17章 赤い夫との誘拐
私たちはしばらくの間ずっと抱きあっていた。
「美桜」
『ん?』
「服はどうするんだい?」
『あっ!!すっかり忘れてた!どうしよ……』
「俺が近くの所で買って……きたら駄目だな」
『私を1人にしないでください』
「どうしようか…………」
『あ、秘書さんは?秘書さんなら女性だし服買ってきてもらってここまで来てもらったらいいんじゃないの?』
「確かに……。父さんの信頼も厚いしあの人なら任せられるな。わかった。じゃあ1度父さんに連絡するよ」
『うん。お願い』
「すまない。動くよ」
『う……んっ…………』
ぐちゅっと音をたてながら私と征十郎は離れていく。征十郎は服を着るとスマホを取り出してお義父さんに電話をかけた。
「もしもし。征十郎です」
〈征十郎か!?美桜さんは無事か??〉
「はい。今は落ち着いています」
〈そうか。良かったよ。車の手配をしよう〉
「いえ。それは大丈夫です。ロバートが来てくれるので。ただ、誘拐犯達に服を破かれて今はほとんど裸の状態なので父さんの秘書の方に美桜の服を持ってきてもらってもいいですか?」
〈そんな事をされたのか……。大丈夫だ。伝えよう〉
「ありがとうございます。服は女性が選ぶ方が良いので。それと美桜が秘書の方にお願いしたいと言っていました」
〈本人もそれを聞くと喜ぶと思う。では今から向かわせる〉
「はい。ありがとうございます」
征十郎は電話を切った。お義父さんとの会話は聞こえていた。お義父さんに私たちがいる場所はロバートさんから伝わっているらしい。