第17章 赤い夫との誘拐
〈誰だ!?〉
『ん!?』
コツンコツン
足音が鳴る。
〈“誰だ”か……。この状況で来るのは1人しかいないと思うのだが。まあいい、僕は赤司征十郎だ。妻を返してもらおうか〉
ゾクッ
声を聞いただけで征十郎と言うことは分かった。もちろん嬉しい。だが、歓喜と言うよりは今は身の危険を感じている。
何…?この冷ってする感じ。怖い……。
〈微笑を浮かべてやがるが…。殺気やべえな〉
ハサミの男が言って私はこの身の危険を感じる理由が分かった。
〈おい。どうするよ〉
〈殴りにかかるか?〉
殴るって。ふっ、アホやろ。征十郎が負けるわけがない。
こんな状況で笑っているのはおかしいが、今の会話を聞き笑ってしまった自分がいた。
~征十郎目線~
俺は走った。地図が示す、美桜がいる場所へ。
「はぁ……はっ…………。ここか……」
俺は美桜がいるであろう倉庫へとたどり着いた。
『ん!!んーー!』
中から美桜の声がすると共に、俺の名前が呼ばれている様な気がした。
ギーガラガラガラ
俺は即座に扉を開けた。