第17章 赤い夫との誘拐
~征十郎目線~
〈はぁ……はぁっ…………〉
俺の後ろでロバートの荒い息が聞こえてくる。
俺は立ち止まり、息を整えてから後ろを振り返った。
〈はぁ…は……。ロバート。お前はここまでで良い〉
〈な…………なんで、だよ!!〉
〈……息も荒いし、このまま走り続けて酸欠とかになられると厄介だ。何しろこの巨体が隠れられる場所もない。だからお前にはFBIを呼んできてほしい〉
〈確かに……。無さそうだな…………。でもよ!呼ぶと誘拐したやつらが美桜に危ないことするんじゃねえのか?〉
〈だからサイレンを鳴らさずに来い。そしてすぐに捕まえられる準備体制に入っておけ〉
〈お、おう!!!じゃあ行ってくるぜ!!征十郎!気をつけろよ!!〉
ロバートは親指を立てニッと笑って向かって行った。
じゃあ、俺も美桜の所へ行こうか。
俺は目をつぶってゆっくりと深呼吸してから目を開けた。愛する美桜を助けるためになら殺人を犯す決意を目に宿して。