第16章 赤い夫との甘い夜
「夜になると冷えるな……」
征十郎は私の手をしっかりと握りながら言った。
『ホテルってここから近いの?』
「ああ、15分ぐらいかな」
街灯がキラキラ光っている。会社と同僚らしきグループやカップルなどたくさんの人がすれ違っていく。そうこうしている内に目的のホテルへとたどり着いた。
『なかなかでかいホテル…………』
「そうか?さっさと中に入ろう寒い」
中に入るとゆったりとした音楽がなっている。
〈こんばんは……って、征十郎じゃない!お久しぶりね!!〉
〈ああ、久しぶりだな。スイートルーム一部屋空いているかい?〉
え?え??と私は2人を交互に見た。
〈あ、紹介してなかったね。この人はセシカだ。小さい頃によくしてもらっていたんだ〉
《は、はじめまして》
私はお辞儀をした。
〈あら?こちらの方は征十郎の奥さん?〉
〈ああ。そうだよ〉
《妻の美桜です》
〈はじめまして。セシカよ。なに?新婚旅行で来たの?〉
《出張でアメリカへ来たんですよ》
〈あらそうなのー。大変ね。ところで、なぜここに泊まるの?家で泊まればいいじゃない〉
〈セシカ…………。察してくれ〉
私たちの間に数秒の間が空いた。