第16章 赤い夫との甘い夜
「ああ。知らないわけないじゃないか。わざとだよ」
『あほ』
私はべーっとしながら征十郎に言った。
「あ、そんな暴言吐いてもいいのかい?」
『すいませんでした』
私は即座に謝った。
「それはそうとして…………」
『ん?何?』
「いま、俺らは裸で一緒にベッドに入っている」
『うん?』
「なぜ、こんなにも甘い雰囲気にならない」
征十郎は少し項垂れて言った。
『だいぶ甘い雰囲気だと思うよ?お風呂とかでも』
「あんなの俺は求めてない」
『もーーーー。じゃあ何を求めてる?』
「いれたい」
『……………………』
私は少し考えた。
さっき自分からキスしたりはしたがその時は気分が高まっていて頭から抜けていたが、人の家は家だ。それにだいぶ冷めてきている自分もいる。というか睡魔と戦っている。
『えっと……あの……』
「美桜の気持ちを代弁しよう。正直いうともうちょっと冷めてきてて眠気と戦うのに必死だから無理」
『な、なんでわかるん!?』
「合ってるだろう?瞬きの回数が非常に多いし、体温も高い。それに会話が多すぎた」
『合ってます…………。けど、私もしたくないわけじゃない。ただやっぱり人の家やから少しは抵抗がある』
「じゃあ外行こうか」
『うん……。えっ?は!?!?』