第16章 赤い夫との甘い夜
「え?」
征十郎は目を丸くして私を見つめる。
『え?やなくて。目つぶって』
「結構顔が離れたからもう終わりだと思ったじゃないか」
『すいませんでした』
私は少し頭を下げて謝った。
「もう1回キスしてもらったからいいよ」
征十郎はそれだけ言うと私のお腹に手を回して天地逆になる。
『うわっ!』
ぼすん
「はい。反対」
征十郎に上から見つめられる。
『……………。』
私は下を向く。するとすぐに征十郎の腹筋が目の前に現れた。
「…………。あの、美桜?そんなにガン見されると流石の俺でも恥ずかしいのだが」
『え?なん…………あっ!うわぁぁぁぁ!!!!』
まだ電気を消してないのと、スタンドライトが付いていたので丸見えだった。
「……………大丈夫かい?」
私は顔を両手で隠している。絶対に真っ赤になっているだろう。
『ごめんなさい。さっき見えてたりしてたけど、いつもだし無視してたけど、まさか目線の先にあるとは思わなかった。というか言われるまで気づかなかった』
「だから俺は大丈夫だから。顔見せて?」
私はいやいやと頭をふる。