第16章 赤い夫との甘い夜
征十郎は優しく頭を撫でる。
『知ってるって言ったら?』
「お俺の心を遊んだから仕置きかな」
『じゃあ知らない』
私はニヤッと笑って言った。
「もういいから早くキスをしてくれ」
『お仕置きしない?』
「ああ」
征十郎は優しい笑顔で言った。
『じゃあ目つぶって』
征十郎は静かに目を閉じた。キスしていい?などと大口を叩いた割には今までこの結婚生活の中で自分からキスするなどはほとんど無かった。そして、さっきまであった「他人の家でセックスなどご法度」などという枷も外れていた。
ゴクリ
緊張で私の喉がなる。
チュッ
それは触れるだけの優しい優しいキスだった。
征十郎が目を開ける。
「え。それだけかい?」
『ちょ。なんで目開けんの!?』
私はもう1回しようとしていた時に目を開けられて驚いて起き上がった。