第16章 赤い夫との甘い夜
征十郎はお水を飲みながら私を待っていてくれた。
『トイレ行ってきたよ』
「ああ。はい水」
征十郎はコップを渡してくれた。
『ありがと』
ゴクゴクゴク
『プハッ。あー、おいし』
キンキンに冷えた水を喉へと流し込み、コップを軽く洗った。
「美桜」
『ん??』
私は振り返って返事をした。
「おいで」
征十郎は両手を広げて待っている。
『つっ……………』
少し驚いて躊躇ったが、抱きつきたい。という衝動に駆られてそろりそろりと近づく。
「遅い」
征十郎はそれだけ言うと私の腕を引っ張った。
ぐいっ
『えっ。ちょ、待って!転ける!!』
ドサッ
案の定私は征十郎の上へと倒れ込んだ。
『……………ごめん』
「いや。大丈夫だ」
私は少しだけ頭を上げて征十郎の顔を見る。
「なんだ」
『…………キスしていい?』
「それは断らないと知っていて言っているのかい?」
征十郎は私の頭と腰に手を回し、髪を梳く。