第17章 コンフュージョン
「オレ、は・・・・・・」
『うん』
「・・・・・・解らない・・・な・・・」
『わからない?』
「複雑・・・。なんて言ったら良いか解らない気持ちになるよ」
『うん、それがかぞくなんだよ』
「・・・えっ」
『にんげんってのはね、そういういきものなんだってわたしはおもう。
ふくざつってことは、いろんなかんじょうがあるからでしょ?
うれしい。かなしい。さびしい。くやしい。むかつく。
それって、いちばんだいじなことだよ?』
思い当たる事があるのか、レンは何も言わないで私の言葉に耳を傾けてくれた。
『きらわれてるのだって、なんかりゆうがあるんだよ。
おとうさんに、きいてみたりしたの?』
「・・・聞いても、無駄だよ」
『なんで?』
「あの人は、オレの話すら聞いてくれやしないんだ」
『わかんないじゃん』
「解るさ」
『きいてもいないのに、むだってきめつけるの・・・?』
「・・・きっと、耳を貸してくれない」
『・・・・・・むー・・・』
そんなレンこそ聞く耳を持ってないと思う。
最初から諦めてて、まだレンとお父さんは家族のスタートラインにすら立ってない気がする。
なにか。
なにか無いかな・・・。
レンに、家族ってのはどう言うものを言うのか。
なにか、何かあるはずだ。
説明苦手で説得下手な私が、レンに伝えられる方法。
『・・・・・・、・・・・・・あ・・・』
──「だから・・・・・・その歌は、聖川の財閥にも届くんじゃないかな?」─
「・・・エレ?」
『そっか、そのてがあった・・・!
やっべ、さっすがわたし。
ねえ、れん。いまかられこしついかない?
てか、いこう!れこしつ』
「えっ、レコーディングルーム?
またいきなり・・・どうしたんだい?」
『いいからいいから、なんかごちゃごちゃせつめいするよりぜったいそっちのほうがはやいっ!』
いつになく元気な私がぐいぐいとレンの制服の袖口を引っ張ると、レンはやれやれと言った感じで立ち上がってくれた。
一応月宮先生が居ないか確認して、私達は校舎内のレコ室に向かった。