第16章 フィーリング
『お疲れ様です、寿さん』
「・・・・・・う、うん・・・」
『ラストの早乙女学園長はビックリしましたねー。
あの動きと奇声は思わず身構えましたよ』
お化け屋敷わず。
結論。メリーさんはメリーさんじゃなくてメリーちゃんでした。声可愛かったし、誰か声優さんかな。
寝室エリアで悲鳴を上げた寿さんを応援しながら、続く書斎エリアにて何故か火の玉出現。『これ燃え移ったら大変だろうなー』とつぶやきながらフーッと息を吹きかけてみれば、なんと消えてしまった。
あ、やべ。と思って寿さんと次のエリアへ。
そこは裏口になっていて、出口が目と鼻の先。
後はもう大丈夫でしょと思いながら進めば、まさかの早乙女学園長が登場。しかも壁からぬうっと。
かと思えば早乙女学園長は地面を這いずってもはや解読不能な声を上げ、私達2人に迫ってきた。
あまりにもインパクト強すぎて、固まる寿さんの腕を引っ掴んでそのまま出口に向かって走った。
・・・無事に出られたけど、早乙女学園長って何でもありなんだなあって改めて思いました。まる。
「・・・なんか、あれだね・・・」
『?』
「このちゃん、お化け屋敷慣れすぎ・・・」
『そですか?』
「いやいやいや・・・そですか?って。
普通お化け屋敷の先読みとか、特殊メイクの解説とか仕掛けのネタバラシとか・・・しないよ!?
なんか途中からぼくだけ怖がりすぎなのかって錯覚しちゃったもん」
『途中で火の玉消しちゃいましたからね・・・。
あ、でも寿さんの驚き方が普通なんだと思いますよ。現に私達の次のお客さんらしき人達の悲鳴、聞こえてましたから』
「そりゃあね・・・・・・。
・・・はー、格好いい大人なれいちゃんを見せたかったのに・・・まさかホラー得意とはね」
『ホラー全般が得意じゃないですけどね・・・』
「??」
『あ、気にしないでください。
お化け屋敷がこのレベルなら、後はアクション系のアトラクションですから精神的な苦痛は心配ないかと』
「・・・・・・はは、うん。そうだと願いたいかな」
近くのベンチに座ってジュースを飲む。
心なしかぐったりしてる寿さんの隣で、のほほんと私は受け答えする。
数分後、復活した寿さんと次はどこに行くか相談する。
お化け屋敷から、また1つ悲鳴が聞こえていた。