第16章 フィーリング
side 音也
「ねえねえっ、今の見た?
心羽、抱き着かれてたよっ!?」
「う、うむ・・・見たところ・・・心羽も拒まなかったようだな。しかし、これではまるで・・・」
「どっからどう見ても、カップルだろ」
「そうね・・・なんか、いい雰囲気じゃない?あの2人」
「はわわ・・・心羽ちゃんにも、ついに春が・・・!」
「ふふふ、手まで繋いでますよ~?
僕も、このちゃんとデート・・・。・・・あっ、これじゃ焼きもちですね」
Sクラスのみんなと分かれて、Aクラスのみんなと一緒に行動する。
今はちょうど心羽がほっぺにキスされて更に抱き着かれ終わったところ。
いいな、いいなあっ。
俺だってまだ心羽と手を繋いでないのに。その上ほっぺキスとか。すっごい羨ましい!
唯一2人っきりになれる、火曜日の放課後の作曲時間だってふとした時に笑ってくれる心羽。そんな心羽が可愛くて抱きつこうとしたり手を繋ごうとした時に限っておっさんとかトキヤとか、セシルとかに邪魔されるんだよねー。
アイドルになりたくて、今の早乙女学園に入った。
でも、それはそれ。
俺は・・・心羽が好きなんだ。
友達としても、女の子としても好き。
心羽の作る音楽も大好きだし、何よりも心羽と一緒に居る時間も大好き。
それは、他のみんなも同じだと思う。
みんなと居る時間も好きなんだけど、そこに心羽が加わるともっと楽しくなるから。
「(だから、俺的には積極的にアタックしてるつもり・・・なんだけどな〜)
って、心羽達は??」
「今、異界ヘノ導キに入って行ったところだ」
「・・・いか・・・、え?」
「お化け屋敷だとよ。
目玉お化けは・・・、メリーさん・・・ってかこれお化けか・・・?」
「1発目からお化け屋敷・・・?!
えええ、割とハードな所行ったね・・・」
「大丈夫でしょうか、このちゃん・・・」
「・・・よしっ、おとやん行くわよ!」
ガシッ、と友千香に腕を掴まれる。
えっなんで俺!?とビックリしている俺にお構い無しに、友千香はさっき買ったフリーパスをお化け屋敷の係員さんに渡した。
・・・俺、幽霊系ダメなんだけど。