第16章 フィーリング
side レン
おチビちゃんに釣られるように、オレとイッチーもセッシーの方を見る。
「コノハの事は、好きです。
あの時々見せてくれる、優しい・・・心を穏やかにしてくれる笑顔が好きです。曲を作ってる時の、歯笛を口ずさんでいる音色も好きです。朝、寝ぼけ眼でぼんやりしている姿も好きです。
・・・嗚呼、言い出したらキリがありませんね」
「ふふ、セッシーはエレが大好きなんだね」
「イエス!
どんなコノハも大好きです。ずっと、サオトメ学園を卒業してもずっと一緒に居たい。
でも・・・」
どれだけエレの事が好きなのかアピールし終えると、セッシーはそこで一旦区切った。・・・いや、これは放っておいたらまだまだアピールし続けるだろうね。
そして穏やかな表情を浮かべる。
「コノハが、幸せでなければ意味がありません。
コノハが幸せなら、ワタシも幸せ。だから・・・コノハが、あの人と一緒に居て幸せならそれで十分です」
「セシル・・・お前・・・」
「・・・やれやれ、セッシーのその想いは純粋すぎて怖くなるね。
イッチー・・・ひとまず、ここは様子を見ないかい?
あのエレが、デートと言い出したんだ」
「・・・・・・・・そう、ですね。
私とした事が、我を見失うところでした。この件については、もう少し慎重に行動しましょう」
「ったく・・・やっと落ち着いたか。
・・・お、移動するみたいだぜ?」
おチビちゃんにそう言われ、エレ達に気づかれないようにしながら移動する。
オレももう少しエレへの想いを落ち着かせるべき、なのかもね。
ジョージから借りてきた銃を懐に仕舞って、イッチーも握り潰してしまいジュース塗れになった手を近くの休憩所で綺麗に洗い流した。
イッチーは・・・あれはかなり本気だね。オレ達の前では平静を装ってるみたいだけど、ジュースを握り潰した時の顔はさすが役者って感じだった。
・・・一応言っておくけど、これは実弾じゃなくてゴム弾だ。消音性が高くてイタズラに使うのに最適な。それをおチビちゃんてば・・・本物かと思ったのかな?
まあ、オレもジョージから「いざとなったらコイツで仕留めろ」って手渡された時はとうとうオレも暗殺するのか、と思ったけど・・・杞憂だったようだね。