第16章 フィーリング
ぎゅう・・・っ
『、わ・・・』
抱きしめられました。
誰に、って・・・寿さんに。
一体全体なんだってんだ・・・。
寿さんは後ろから抱きしめる形で私の首の右側に顔を埋めてきた。長い茶髪が私の肌を掠めてくすぐったい。
『、寿さん?』
「っ・・・ごめん・・・、今だけぼくの顔見せれないや」
『え、なぜにですか』
「それは、その・・・・・・今のすっごく嬉しかったから・・・。
破壊力バツグンすぎてれいちゃん赤面中」
『えー・・・寿さんが私の事褒めてくれてたから、そのまま言葉を返しただけですよ?』
「だって・・・、他の誰でもないこのちゃんに褒められるとか・・・・・・ほんと、反則にも程があるよ」
『またまた・・・。
寿さんは明らかにかっこいいじゃないですか。他の人からも言われてるんじゃないですか?かっこいいって』
「・・・、言われないよ。三枚目とかしか」
『・・・それはまた・・・』
「だから、本当に・・・嬉しいよ。
ありがとう」
『ど、どういたしまして?』
何やらよく解らないけど、機嫌を損ねた訳ではなさそうだ。
寿さんはついさっきまでのルンルンしてたテンションから一転させて、声のトーンを落ち着かせた。よっぽどなのか、私を離さないように・・・だけど甘えるようにぎゅう、と抱きしめてる。
要するに、照れたって事?
それで照れて赤面させた顔を見せたくなかった、と。
・・・思った事言っただけなのに、何がそこまで効果てきめんだったのかな。
そう言えば海に行った時に日向先生に笑いかけたら、その後少しだけ気まずかったなあ。
・・・・・・うーん、男の人の照れるポイントがよく解らない。
「・・・ふう、ごめん。
もう大丈夫っ!」
『ならいいですけど・・・私、発言控えた方がいいなら控えますよ?』
「とんでもない!
ぼくならもう大丈夫だから、喋んないなんて言わないでよ〜」
数分後、復活したらしい寿さんがテンションを戻してきた。
さ、今度こそアトラクション乗ろう!と私の手を引いて歩き始めた。
まだ少し顔が赤い気がするけど、言わないでいた方がいいよね。