第2章 ~1日目~
――これから貴女の理想の彼氏をそちらへ送ります。
ダウンロード致します。
男の言葉に鈴花の脳裏へと昨夜の出来事が蘇る。
3日間。
一緒に暮らす。
アプリのダウンロード。
この男を呼んだ覚えは無いが、それらの単語は鈴花の中でまだ記憶は新しい。
“彼氏アプリ”
ほんの気まぐれから、鈴花は昨夜そのアプリゲームをダウンロードしてしまった。
しかし飽くまでも、アレは“ゲーム”だったはずだ。
だというのに、目の前にいる男は生身の人間である。
「確かに私はアプリゲームをダウンロードしたけれど、それとアンタは関係ないでしょ?」
「関係はある。俺を疑うなら、携帯を見てみればいい」
「……分かったわ」
今すぐにでも通報してやりたい所ではあるが、嘘偽りの無い真っ直ぐな瞳が鈴花の胸に引っ掛かった。