第2章 ~1日目~
自分のやっている行為は棚上げで、むしろそれが当然と言わんばかりの態度。
元彼のせいで欲求不満だったこともあって、思わず流されかけた鈴花だったが。
次第に冷静さを取り戻してきた。
「……あのね、第一に私はアンタの名前も知らないし。何より勝手に人の家に上がり込んでる時点で犯罪だから。不・法・侵・入・者! お分かりでしょうか?」
嫌味ったらしく立てた人差し指を鼻先に突き付けながら、男に言い含めてやる。
しかしそれに対しての男の反応は――鈴花も予測していなかったものだった。
「何言ってるんだ? 俺は鈴花に呼ばれてここへ訪れたんだ。不法侵入者なんかじゃない」
「は…? 私はアンタを呼んだ覚えなんて」
「――これから3日間。俺と鈴花はここで暮らす事になっているはずだ。アプリをダウンロードしたんだからな」
「ア…プリ?」