第2章 ~1日目~
(こんなの……イケないって分かってるのに)
不法侵入者としか思えないこの男。
キスなんかしている暇があったら、まずは警察に通報のひとつもするべきだ。
だというのに、そんな鈴花の考えも男の口づけに吸い込まれてしまう。
「……可愛い」
「……っ!」
息継ぎの合間の一瞬だった。
歯列や口蓋をねっとりと舌先でなぞられ、朦朧としていた意識が男の一言に覚醒する。
そのせいで条件反射的に頬に赤みが差すのを鈴花は止められなかった。
――ゴソゴソ。
(ん? ゴソゴソ?)
クチュヌチュと、唾液の粘膜が擦れあう音で聴覚が支配される最中。
割って入ってきた別の音に鈴花は首を傾げる。