第2章 ~1日目~
(え……え? な…に?)
目の前では男とは思えない程に、長い睫毛が彼の目元で影を落としている。
瞬きさえも忘れて、鈴花はただその光景を見ていた。
「ふ……む、んう…っ?!」
――突然。
ぬるりと何かに唇の上をなぞられ、急停止していた思考がようやく回り出す。
(いくらイケメンと言えど、こっちの了承も無しでキスはあり得ないーっ!!)
力任せに目の前の男の胸板を押し返す。
しかしやはり非力な女の力ではびくともせず、鈴花が突き放したというよりは男が身を引いた形で二人の間に僅かながら距離が出来た。
「ちょ…っ、ま、待っ――」
「待たねーから。鈴花は黙って俺に身を委ねてればいい」
「な……! …ンンッ」