第2章 ~1日目~
艶やかで指通りの良さそうな赤みがかった茶髪に、前髪には金のメッシュが少し入っている。
意志の強そうな二重瞼の瞳に、すっきりした鼻筋。
唇は肉厚ではないが、薄く笑みの形に口角が上がる様は妙に色っぽい。
更に前ボタンが外れた黒のワイシャツからは鎖骨が覗き、彼の色気を更に際立たせていた。
「おはよう、鈴花」
「え……」
何故、自分の名前を知っているのか。
その疑問を問う前に彼の顔が鈴花の上に覆い被さってくる。
顎を擽るように持ち上げられ、唇に柔らかい感触が重なってきた。
「ん……んんっ?」
暫くご無沙汰だったその感触には覚えがあったが、混乱に鈴花の頭は追い付いていかない。
そうしている間にも、重なる繋ぎ目は更に深く激しさを増していく。