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ゲームはお好き?

第2章 世界


5月の連休明け

1年生はすっかり学校に慣れたようだ

「....す、こ..す、......」

最近になって声が聞こえるようになった

授業中だと特に

右目が疼く、痛みが眠気を奪っていく

2時間目が終わって席を立った

水島「何処行くの~?」

『サボり』

水島「優等生め」

次の準備をしている教室から抜け出して屋上に向かう

屋上庭園に設けられているベンチに座って右目を抑える

『痛い...』

私の右目は機能していな

それを知っているのは仁王一家だけ

左目だけの生活には慣れたものだ

最初は物を落とした時に支障が出た

その時に初めて両目がほしいと思った

背もたれに体を預けて空を見上げる

眠気は痛みで去っていく、眠たいのに

?「痛いんじゃろ?」

急に視界に入ってきたペットボトル

ペットボトルを持っている手をたどれば

眩しいくらいに反射する銀髪が見えた

仁「痛み止めじゃ。飲みんしゃい」

視線を水平に戻り彼から水を受け取る

さらに反対の手には錠剤が握られていた

錠剤を口に放り込み水で奥へと流していく

その間に彼は私の隣へ座る

仁「最近、よく抑えておるじゃろ?」

『知ってたんだ』

仁「そりゃ、見ておるからな」

『ストーカー?』

仁「何言っとるんじゃ」

『冗談さ』

仁「傷つくナリ」

『ごめんごめん』

痛み止めが効いてきたのか右目の痛みが薄れていく

それと同時に自分の意識も薄れていく

痛み止めの副作用でもあるし

最近眠れないからそれも原因んだろうな

自然と首が傾き、私の頭が雅治の肩に接触する

雅治は驚いたのかピクッと体が反応した

仁「眠いんか?」

『うん』

仁「そうか」

彼は頭を撫でてくれる

その行為が気持ちよくて、安心する

彼から少しだけ甘い香水を香れば

私の肺へと流れ込んでくる

仁「こっちにしんしゃい」

『?』

彼は少しだけ間を開ける

太ももを枕にして寝ろとの表現だ

『あ、授業は...』

仁「お前さんが最優先じゃ」

『ありがと』

仁「昼になったら起こすナリ」

『純分だよ。ほんとにありがと』

私はゆっくりと頭を下げ、彼の太ももの上に乗せた

そこから彼の手が頭の上に乗る

仁「早よぅ、元気になってくれ」

最後に彼を見ると

今にも泣きだしそうな表情だった
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