第2章 世界
仁王側
細くなりすぎておる肩に手を置いた
既に筋肉の殆どなく、骨に触れているような錯覚に陥る
?「もういいですか?」
仁「ああ、こればええ」
扉を付近から現れたんは柳生じゃ
柳生「今はどんな状態ですか?」
仁「痛み止めの副作用で眠っておる。当分は起きん」
柳生「そう、ですか」
苦しそうな表情で氷月を見つめる
柳生「お聞きしても、よろしいのですね」
仁「此処まで聞かれたんじゃ。隠せん」
屋上に来る途中で柳生に見つかった
俺の手の中にあったんは水痛み止めの2つ
それで柳生は此処まで追ってきたと言う事じゃ
仁「幸村達には秘密にしといてくれ」
柳生「それが彼女の願い事でしたら」
仁「サンキュ」
氷月が重度の拒食症だと知ったのは高校に上がってからじゃ
朝や昼は見なくとも、夜になっても2階から降りて来ん事に気付いた
部屋を訪ねて扉を開くと、氷月本人は既に寝ておった
じゃが、机にのっとる袋が気になり、中を覗いた
中には大量の薬が入っておった
俺はそれを見て後悔した
それを調べて出てきたのは栄養剤じゃった
事故で両親が目の前で死んだ事によって食欲を失ったそうじゃ
引き取る親戚もおらんかった
俺の母さんが知り合いであったために引き取られた
そして俺はそれを母さんから知ったんじゃ
柳生「重度の拒食症だったんですか...」
仁「ああ、一口でも食えば直ぐに吐き出してしまうくらいにな」
柳生「だから奈々さんがお弁当を作ると言った時、あれだけ拒否をしたのですか」
仁「ああ、そうじゃ」
俺の手がピクッと動いた
視線を落とせば少しだけ震えておる
柳生「悪夢でも見ているのでしょう」
仁「ここんところ寝ておらんかったらしい」
柳生「保健室に運んだ方がいいのでは?」
仁「コイツは学校内が嫌いなんじゃとよ」
柳生「そうでしたか」
『...早く...』
仁「......」
コイツは何を見てるんじゃろうな
こんなにも怯えており、危機感もないんじゃ
最初は嫌いじゃった
だが、俺の事を見ても興味を示さないヤツじゃ
だから、振り向かせたかった
コイツに振り向いて欲しいんじゃ
長く綺麗な髪を撫でる
そのまま腕を触れて体温を確かめる
コイツはまだ何か隠しておる