• テキストサイズ

ONE PIECE短編(仮)

第9章 (サンジ、ロー、ゾロ、分岐、後編、一部18禁)


2、薬品の匂いだった。(ローver)

ふと感じた薬品の匂いに違和感を覚え、その出所をさがす。

「…おい、終わったのか」
「あ、…えーと、ローさん、でしたね?」

ああ、と返事をしながらローがりんに近づく。
背が高く、どうしても見上げる形になりながら尋ねた。

「どうされましたか?なにか飲まれますか?」
「そうだな」

そう言うのでりんは店内にローを入れた。
カウンターに案内して座らせる。

「こちらへどうぞ。何か飲みたい銘柄などはありますか?」

ローは棚にならんだ様々な酒を眺めながら言った。

「…そうだな。アレを、チェイサーで。」
「はい。お水ですか?ソーダ?」
「水」

短く答えるローの声を聞きながら、指さした先のボトルを取り、グラスを用意する。
琥珀色の液体を注ぎ、チェイサーも用意して出した。

「おまたせしました」

カウンターに置く。ローはちらりとりんを見てからグラスを口に付けた。

(さて、片付けは終わってるし…どうしよう)

ぐるりと店内を見回してもやることは見付からず、酒問屋に注文するリストでも作ろうかとメモを手にした。

「閉店後に悪かったな」
「え?あぁ、大丈夫ですよ。お気になさらず」

ローの謝罪を受け、ふと気づいた。

「何か食べますか?余り物しかありませんが…」

持って帰る為に用意していた軽食を取り出す。
ローはそれを見て

「もらう。…皿に移す必要はねぇ。そのままよこせ」
「はい」

そのまま出すのは気が引けるのだが、本人が言うので出した。

「…おまえ、家は?」
「ここから歩いて行ける距離にありますよ」
「家族は」
「…?…母は私が生まれた時に体調を崩してそのまま…父は数年前に死別しました」
「この島に未練は」

矢継ぎ早に来る質問に戸惑いながら答える。

「…この店がなかったら…ないのかな」
「ふん…」

ローが自身の座っているスツールの隣を軽く叩く。座れの合図かと推測し、カウンターを出て隣に座った。

「…おれは、お前を連れて行く。おまえに拒否権はないが、準備の時間は与えてやる」
「…え?!」
「もう一度言う、拒否権はない。拒否したとしてもおれは海賊だ。欲しいものは奪う」
「な、んで…」

あ?とわざわざ質問する意味が解らないとばかりに眉を寄せた。

「おまえが欲しいから。他に理由がいるのか?」
/ 64ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp