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合同企画 【相合傘】 R18

第2章 今宵月が見えずとも


気づいた時にはもう、走り出していた。路地の奥にたどり着くと、果たして声の主は彼女だった。見知らぬ中年の男に殴られている。咄嗟に空き缶を蹴り男の注意を逸らすと、一気に距離を詰め振り上げていた腕を取り捻り上げる。そのまま地面に男を押し付け少しだけ体重をかける。男の身体から自由を奪うと彼女に声をかけた。

「大丈夫ですかなつめさん」

「……辰也、くん…?」

彼女は地面に座り込み呆然とした表情でオレを見ていた。まるで信じられないものを見るような目でオレを見ながら、呟くように言った。

「どう……して、ここに……?」

「たまたま向かいの本屋に寄ったんです。そうしたら貴女の声が聞こえて……。気がついて良かった」

オレを振りほどこうと暴れる男にもう少し体重をかけてやる。すると腕に激痛が走り、男はうぎゃあと間抜けな悲鳴をあげた。
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