第10章 現在地
死神が神に力を与える事は出来ない
それは力の形と色が違うからだ
もし受け取ってしまった場合は
体中に痛みが走る
受け取った数だけ痛みを忘れ、快楽に溺れる
一時期そんな事があったために
死神の掟に定めさられたのだ
意識が少しずつ薄れ自分の感覚が鈍くなってきている
しかも、痛みが薄れ、香波から貰ってきた唾液を
欲しがるようになってきた
その快楽が欲しい
僕を満たしてくれてる、その快楽が
欲しい
『ハァ、ハァ、ハァ......』
まずい、自分でも歯止めが効かなくなってきている
耳も遠くなり、視界も歪む
このまま、貰い続ければ
僕は完全に消えて、香波の道具になってしまう
香「あなたはこのまま、私のおもちゃになって貰うわよ」
『だ、れが、おまえ、の、なんか、に!』
香「ウフフ、わからずやさんね」
またも口づけ
もはや痛みなんて感じない、快楽に溺れてしまっている
何回目か貰った時に大きな変化があった
パリィン!
自分の中で何かが割れた音がした
聴力と視界がだんだん変わって行く
その音と共に色が失われモノクロになっていく
意識も遠くなっていく
香「おやすみ、永遠に」
その言葉を最後にして
僕の全てが失われた
香波を見ても敵意は感じない
むしろ自分のマスターではないかと思う
僕が消えた瞬間だった
香波側
香「ようやく落ちたようだね」
ベットの上には力もなくぐったりと神様が寝ている
香「私の物よ」
自分のおもちゃが手に入った
これから何年も一緒にいようね
さあ、少ししたら狩りを始めよう
最初の狩りは
神様
香「もう少ししたら呼びに来るからね。待ってて」
私は自分でも優しいと思う声を掛けた
『わかりました、マスター』
冷たい声で返ってきた
返事まで出来れば問題ない
後は実践を残すのみ
真っ白な空間を後にして
人間達の元へ行くのに準備をする
ここで決着をつけて
全ての人間を彼への贈り物にする
あの人間達の中には力を持った者もいる
大丈夫、今度はしくじらない
その元凶は我が手の中にいるから
香「ウフフフ......、楽しみだわ」
彼らとあの子の
殺し合いが