第10章 現在地
仁王側
真っ暗闇の中で
俺の好きな女が1人で喋っている
でも、そこには姿形はない
【仁王君、始める前に少し余談をいいでしょうか?嫌だと思いますけど】
俺は何も言えん
言ってもその言葉はお前さんに届かん
【先ほど、告白みたいなのされて正直焦りました。僕が好きになった方は絶対に殺されるからです。きっと雷地から聞いたと思います。生きていた時代ごとにその人に言っても何も変わりませんでした。怪異はそれを知ってか片っ端から殺していきます。元の火種は僕自身、なのに人間に迷惑を掛けるなんて神様失格です】
笑って言っとる用に聞こえる
その言葉に後ろ向きな言い方はされておらん
【では、これで返事をするのもどうかと思いますけど言いますね。僕は仁王君の事が好きです。それに気づいたのもさっきです。僕は一方的に好きだと言われた事はあっても自分から好きだと思う人間には巡り合った事がありませんでした。でも、僕は何故かあなたが好きです。これには嘘偽りはありません】
仁「氷月......」
顔を見て言ってほしかったが
なんだが場違いにも嬉しくなってしまうぜよ
【僕はあなたの事が、仁王君の事が好きです。生きていて初めて人間を好きになりました】
初めての恋か
俺で良いんじゃろうかな?
俺は詐欺師ぜよ
【僕は仁王君が好きだから、それ以上の言葉を言わせないでください。恥ずかしいから】
仁「ほー......」
アイツにも恥ずかしいと言う文字があったんか
【コホン、では本題に移りましょう】
真剣な声に変わった
【僕が今から指示をしますので、その通りにやってください。説明は省きます。ご了承ください】
俺はそんな言葉が終わると
少しだけ座りなおす
【やる事は簡単です。仕組みを言えば、テレパシーを使って雷地を来させる事です】
仁「テレパシーか......」
アイツらがやっとる通信か
【では、まず目を閉じてください。両手を胸の前で組んで心の中で雷地と炎方の姿を想像しながら名前を呼んでください】
それだけか
【力のない者がやっても効果は全くありません。では、試しに呼んでみましょう】
俺は言われた通りにやってみる
そうすると意識は大きな空間に出た
本が本棚に沢山つまっておる
どんだけあるんじゃ
真下に幸村達が見えた
麗華の指示で移動しておる