第7章 死神の事情
4割まで力を解放させた
なら今までと違って空間に術を発動する事が出来る
僕は香波の足元を狙った
麗「俺達は早期解決をして休憩したいんだけど」
香「そこの氷の神様に言ってくれないだろうか?」
『僕は何もしてないよ。神様でもないし』
香「昔と違って何故か暖かいんじゃないの?」
『僕は僕さ』
そう、神様なんてでたらめだ
人間の話しを聞くだけの存在
人間の願い事なんて叶える事は出来ない
実際に僕は誰も守れていない
何時の時代も、どんな場所でも
僕の目の前で死んでいく
結局は神様なんていいながら
人間よりも力がないのだ
あるのは不老長寿と時代の知識だけ
死んでも記憶は継承される
死神に狩られる前に次の媒体を求めて飛び立つだけ
だから僕らの記憶は継承され続ける
香「あなたは何も出来ないもんね」
怒っていた顔は何処かへ行き
今は歪んだ笑みを浮かべている
『そう、僕は何も出来ない。誰も守る事も出来ないし。自分を捨てるしか能がない』
香「じゃあ、死んでくれないかな?」
『この仕事が片付いたら考えるよ』
香「私が生きている時かな?」
『それは』
僕は左手を前に出す
『ないね』
パチンッ!
香波の下半身を氷漬けにした
それには麗華も驚いている様子だ
香「また、私の足を奪うの!?」
『さあね』
左手と右手を胸の前に持って行く
香「前もそうだったよね!?」
『そうだっけ?』
香「そうよ!?」
『だから言っただろう?』
僕の声はドンドン低くなる
『覚えていないって』
パチンッ!
両手を合わせた
その音に共鳴して氷漬けにした下半身が
跡形もなく砕ける
香「ぎゃぁぁぁーーーー!!!」
香波は苦痛に顔を歪ませ大きく叫ぶ
僕はそんな香波に近づく
ゆっくりと
『波もそんな感じだったのかな?』
麗「......」
『波も、下半身をなくした時は?』
僕は止まって足元を見る
そこには痛みで蹲っている香波がいるだけだ
香「そんなのっ!知らないっ!」
『そうなんだ』
自分でもわかる
冷たく、恐ろしく、怖い
こんな人間モドキを誰かが愛してくれる事はない
それは何時の時代も一緒だ
本性を見れば誰もが怖がって逃げて行った
僕の時代もここで終わりか
そんな事を考えて足元を見ると
香波は消えていた