第13章 はじまる
仁「怖いんか?」
僕の片手を掴まれた
小さな声で僕にしか聞こえない声で
今さっきまで騒いでいたのに皆が静かだ
『別に』
仁「嘘じゃ」
『!』
仁「手、震えちょる」
『そ、んな事』
幸「俺達は絶対に待っている。今まで人に裏切られたかもしれないし、君の思っている事とは全然違うかもしれない」
柳生「私達には何もできません。けど、待つことなら出来ます」
真「俺達に出来る事なんてものはちっぽけだ」
柳「だが、大きな居場所なら作ってやる事が出来る」
切「先輩」
丸「俺、頑張るよぃ!」
ジャ「俺も、待つ」
皆、涙が出てきそうだ
『ありがとうございます』
それから僕も加わって話した
皆が優しくて暖かくて
神様はみんな同氏だと思っても信頼が薄い
だけど、ここの信頼は厚い
絆の糸も太い、切れる事を知らないみたいに
皆は食べ終わって授業に行った
僕は行く気にもなれずに屋上に残った
給水タンクの日陰になっている所で休憩
凍「楽しそうでしたね」
『そうかい?』
隣には凍真が立っている
凍「本当によろしいのですか?」
『ああ、僕は迷ってばかりだったんだ。守れないから逃げて、守れても満足出来ない』
凍「ええ」
『守れた時の達成感がなかった。人間1人助けてもお礼の一言もないし、皆あたりまえだと言ってた』
空を見上げるといつもより広く感じた
凍「では、今回は違ったと?」
『うん、皆にお礼を言われた。人間みんな一緒だと思ってたけど違ったんだね」
凍「それに気づけたあなた様はまだまだ守れますよ」
『そうだといいね』
凍「いえ、絶対にです」
凍真まで言われた
それでも嬉しくなった
『クス、あはははは......』
凍「クス」
?「いい事の連続か?」
『ええ、たまにはあるのですね。そう言うの』
前を見ると仁王君が立っている
彼もまた笑顔だ
仁「お前さん、誰じゃ?」
凍「おや?もうお忘れですか?」
仁「凍真か?」
凍「そうです」
仁王君は驚いている様子だ
『あの時は狼の姿で召喚したけど、さすがに此処では狼なんて出せませんよ』
凍「そう言う事です」
仁「なるほどな」
凍「では、行ってまいります」
『うん』
凍真の姿は消えて何処かへ飛んで行った
仁「なかなかのイケメンじゃな」
『そうかな?』