第12章 決意と覚悟
仁王側
その笑顔は優しく悲しそうに見えた
『今まで通りにゆっくり直そうと思った、だけどそんな事をしていたら何時になるかわかったものじゃない。今まで支えてきてくれた皆の力になりたいんだよ』
幸「クス、俺達の方こそかなり世話になったよ」
仁「そうじゃき」
『でも、僕らを受け入れてくれた。雷地の話でもあったけど僕らは生まれても罵倒や暴力を人間から受けてきた。だけど、君達みたいに受け入れてくれた事は数少ないんだよ』
何故か、胸騒ぎがした
その綺麗な笑顔には影が見えるような感じじゃ
『だから、早く治したいんだ』
幸「俺が言える立場じゃないけど、病気は恐ろしい物だ。俺もそれは体験している。だからゆっくり直した方がいい」
仁「俺達はいつでも待っておる」
『ウフフ。でも、決めたんだ』
笑顔に混じって強い意志を感じる
『あの秘薬を飲むってね。あれの代償はね』
心臓が大きく鳴りだす
それ以上言わないでくれと
聞きとうないと
『存在、だよ』
仁「そん、ざい」
幸「どういう事だい?」
『あの秘薬は万能じゃない。飲めば治る、だけど飲む量を間違えると今までいた存在が消えるんだ。少なくてもいけないし多くてもいけない』
衝撃的なんて一言で言える訳がない
自分の存在をかけてまで俺達を支援するんか
『まあ、僕の場合は雷地と炎方からは消えない。だけど、君達から僕が居たと言う事実も全て消える』
仁「そん、な」
幸「......」
『みんなの手伝いがやりたいんだ。それだけじゃおかしいかな?神様のくせに』
神様のくせに?
違う、お前さんは
仁「お前さんは、人間じゃ」
『!』
仁「お前さんは、紛れもなく俺達と一緒の人間じゃよ」
『そんな事は』
仁「怪我をしても俺達よりも少し早く治るし、ちゃんと恋だってする。恥ずかしければ頬を赤らめるし、楽しい事があればちゃんと笑顔になれる。泣く事も、怒る事も、みんな出来る」
幸「うん、そうだよね。君は俺達の仲間だよ。しっかりとした人間のね。ちょっと大人っぽい所が時々イラッと来るね」
氷月は驚いたまま動かんかった
仁「俺は、お前さんを失うのが怖いんじゃ。いつでもそばに居てくれんか?」
『僕、が』
幸「俺達が引退するまで、誰がマネージャーをやるのかな?」
俺はこの小さい神様を抱いた