第11章 闇の世界と光の世界
白川側
闇の世界に浮かんでいた
何も聞こえないし
何も見えない
体は動かない
そうか、この時代も20を超える事はなかったのか
自分の中で苦笑する
だけど、真上に白い光が見えた
目を凝らして見ると白い光は次第に大きくなり
世界を変えた
目を開けると白い天井が見えた
キツイ薬品の臭いが鼻を刺す
ピッ...ピッ...
どこからか音が聞こえる
右を見れば窓があり、雲1つない青空が見えた
左を見れば
『今井、さん?』
自分の掠れた声に少し驚いたが
今「!起きたか!」
隣で座っていた今井さんが目を大きく見開いて覗いてくる
『ぼ、くは?』
今「仕事で大怪我を負ったんだよ。全く無茶してくれたね」
大怪我のレベルですんだのか
今「君が寝ている間に手術をしたよ。悪いとは思っているけど優馬の話を聞いたらね」
瘴気を直接受け取ったり、力を開放し過ぎて体が持たなかったり
今「やってくれたね、今回は」
『ランクが、下がって、しまい、ますね』
今「バーカ、下がんないよ。でも、当分は此処での生活だ。手術は成功したから後は体の傷でも癒してな」
『はい』
なんとなく苦笑してしまう
今「優馬は無傷で、その他は軽傷だ。まあ、お前の頑張りで世界に大ニュースがばらまかれなかったのが良い事だな」
『すいませんでした』
今「始末書は3人に書かせているよ」
『文章がめちゃめちゃになりそうですね』
今「俺は国語の先生じゃないっつうーの」
『クスクス』
僕は起き上がらろうとした
『ッ!』
手を動かしただけで鋭い痛みが体中を襲った
今「動くな!絶対安静だとよ」
『わかりました』
今「まだ、夏休みは続いているぞ。今は8月の末だな」
『宿題が溜まっているんですけど』
今「校長に話して免除して貰った。試験は落とすなよ」
『わかっています』
今「じゃあ、俺は教師にでもなってくるわ」
『はい』
今井さんが病室を出て行く
何か気配が飛んできた
凍「随分と無茶をなさいましたね」
『彼らは?』
凍「一応、覚えてはいないようです」
『一応ね』
凍「体で体験をしてしまったので完全には消せませんでした」
『それでもいいさ』
凍「どうか、ごゆっくり」
『ああ』
凍真は何処かへ行った