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仕事は幽霊退治

第10章 現在地


仁王側

壁にもたれ掛けて座っておる氷月を抱く

氷月の体はさっきよりもひどく冷たく、小刻みに震えておる

仁「何が怖いんじゃ?」

『怖くありません、離してください』

仁「お前さんは何処におるんじゃ?」

『僕は僕です、離してください』

氷月を温めるように強く抱きしめた

香「氷月!早くしなさい!!」

香波が叫んでおるが、お構いなしじゃ

こっちに集中してもらうぜよ

『離していただけませんか?』

仁「なら、俺の名前を正しく言える事が出来たら離してやんよ」

『名前......』






白川側

白髪の男は名前を答えたら離してやると言った

でも、僕はこの人間の事なんて知らない

知らないはずなのに

抱かれた時、何故が心臓が跳ねて

息苦しくなった

回された腕がとても暖かくて

その人間の香りが懐かしく感じた

僕はこの人間を知っているのかもしれない

考えても出てこない

香波が僕に何かを言っているが

全部聞こえない

聞こえるのはこの男の声だけ

耳とで話されると妙に色っぽく感じる

仁「まだか?」

男は僕の答えを待っているようだ

でも

『わから、ない』

知識の神も落ちたものだ

この男の名前1つ覚えていないのだから

仁「本当にか?」

『はい』

香波の命令も聞こえない

だけど、命令違反のために急に頭が痛くなる

『ッ!』

仁「氷月!」

男は僕の名前を呼んだ

僕の顔を覗く

他の人間を見ると

皆が心配な顔をしている

僕は、この人間達を、知っている

そうだ、知っている

でも、思い出せない

何か、何かきっかけが欲しい

仁「......」

男の顔が近づいてきた

僕は見る事が出来なくなり目をつむる

僕に唇に妙な違和感があった

目を開けると

男がキスをしていた

舌が入ってきた

僕は必死に逃げるも、捕まってしまう

息が出来なくなり、男を少したたいてしまった

こんな体験は初めてだ

香波の時は拒絶をしていたのに

知らない男では受け入れた

心臓の鼓動が早くなる

男の顔が離れ、僕が顔を覗く

男は照れながらも僕の顔を覗く

ふと、視線をしたにやると

男が首から下げているネックレスに懐かしさを感じた

『あ』

このネックレスはとても大切な物だ
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