第7章 恋の策謀事件(下)
ー決戦は既に始まっているですって?ー
ウンディーネのあの言葉が思い出される。始まりはクローゼットから盗まれた金のサンダルからだった。
一体誰が盗み、誰がアフロディティーとマールスを殺したのだろうか?謎は深まっていくばかりである。
そこで紙切れに書かれた時の特徴をもう一度掴んでみた。男性の字で間違えはなさそうだ。そしてもし、学校の生徒が関わっているとすればケンタウロス、ディオ、ユニ、キューピッドにワル3人、ヘファイストス、ヘルメスがあがる。しかしケンタウロスとディオ、ユニそしてキューピッドは違うと断定する。この4人に関しては違うと首を横に振り嘘をついているように見られないからである。だとすればワル3人かヘファイストス、ヘルメスのうちの5人の中に犯人が潜んでいるかもしれないとウンディーネは予測した。
「でもヘルメスとヘファイストスが悪魔の城に入っているのに彼らだけ注意を受けていないなっておかしいわよね?」
「うん、僕らもそう思うよ。」
ケンタウロスとディオが頷いた。
「もし女王様に気に入られたとしたら何が原因だろうな?」
ディオが腕を組んだ。
みんなはお城の螺旋階段を上りながら話し合った。
「そう言えばヘファイストスがアキレーと契を交わしているのを僕は見たって前にも話したよね?」
ケンタウロスが思い出していった。
「あ~あったわね。学校の夕食後に見たんでしょう?きっとヘファイストスはあのアキレーとかいう人に惑わされたに違いないわよ。だから悪魔に取り付かれて操られてるんじゃない?」
ウンディーネが頷いた。
「だったらヘファイストスを助けないとな。でもヘルメスは?」
ディオがウンディーネに聞いた。
「知らないわよ。でもヘファイストスとヘルメスって仲良しだものね。もしかしてヘファイストスがヘルメスを誘ったのかも。」
そう話しているうちに螺旋階段を上がり屋上まで来てしまった。
「うわあ、風が強いな。」
なんだか久々に外の空気を吸った気がする。でもこの日は少し風が強かった。
「よし、ここで合図を送ってアキレーをおびき寄せるんだ。」
3人はミカエルの言う通りにした。