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時と光と風の中で

第7章  恋の策謀事件(下)


「彼女は5年前に僕が殺した女性だ。ケセフの娘で、事故により失明した。その後、サルトルのもとで育ち、僕やガブリエルとも仲がよかったが、ガブリエルによって魔物の姿に変えられ、やむなく僕が殺した、というのが真相かな?本当は僕だってこんなことしたくなかったんだ。でも魔物に変えられてしまって治す方法がなかったんだ。彼女には申し訳ないと思っているよ。」
そう話すミカエルの目には涙だが溜まっていた。
「これもガブリエルのせいなんて余りにもひどいわよね。」
ウンディーネはそう憤慨していたがミカエルは冷静だった。
「僕はガブリエルの実力には及んでいないため、魔剣と呼ばれる堕天の剣を使っていたのさ。」
ミカエルはその剣を3人にそっと見せてくれた。
「これならアキレーも倒せるかしら?」
「わからない。何度もやってダメだったからね。でももう一回チャンスに賭けてみるよ。」
みんなは頷いて手を合わせた。
「でもミカエルは私達の味方をしていいの?もし他の悪魔に知られたら罰則が与えられるんでしょう?」
ウンディーネは不安だらけだった。ミカエルが味方についてくれると心強いがミカエルのこの行為は悪魔達にとっての裏切り行為になるからである。
「それは十分に覚悟してるよ。さあ、行こう。」
ミカエルに続き3人も後を追った。
「ミカエルの手にしているその剣はなんっていう名前なの?」
走りながらウンディーネが聞く。
「堕天の剣だよ。堕天使(だてんし)とは、主なる神の被造物でありながら、高慢や嫉妬がために神に反逆し、罰せられて天界を追放された天使、自由意志をもって堕落し、神から離反した天使のことだよ。それにちなんだ剣なんだろうね。」
ケンタウロス達もガイア達も城の中をぐるぐる回りながらアキレーをおびき寄せて戦うつもりでいた。

「こんなことでしくじるとは・・・ミカエルは何をしておるのじゃ?」
「イェソド女王様、もしかしたらまだ探してる最中かもしれません。もう少しお待ちを・・・。」
エドガーが女王様に跪いて言った。
「いや、やっぱりあいつに任せたのがいけなかったんだ。私も行ってこよう。」
「おい、アキレー!ミカエルに任せておけばいいじゃないか。もしこれでダメになったらお前まで。」
「そんなことは後で考えればいいだろう?」
「待てよ!」
アキレーは聞く耳を持たずにエドガーを振り切った。
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