第7章 恋の策謀事件(下)
「お願い・・・実は私達の友達があと2人と1匹いるの。このままじゃみんな殺されちゃう。」
「わかった。あそこに隠れて話を聞こう。」
ミカエルの指示された場所に隠れてケンタウロス達はこれまでのことを簡単に話した。
「アキレー拷問吏は手強いからな。」
ミカエルはそう言って腕をまくって傷を見せてくれた。
「なんて・・・ひどい傷なの?」
ウンディーネがあまりの悲惨さに顔を手で覆った。
「これはアキレーから受けたものですか?」
ケンタウロスが小声でミカエルに聞いた。
「そうだよ。僕は瀕死の重傷を負っていることが多く、体中は傷だらけ。あまり自分というもの を大切にしないんだよね。本当は良くないんだけどね。みんなは真似するなよ。」
ミカエルは微笑んだあと話を続けた。
「僕は5年前、ガブリエルに化け物にされたリリスを殺しており、それが大きな確執となったんだ。以来、僕はガブリエルを倒すために戦っていたのさ。」
「どうしてガブリエルを殺さなくてはいけなかったのですか?」
ディオが不思議そうに聞いた。
「うん、そのことなんだけどね。彼は最強の強さを持つ冠翼の聖天使だった。常に微笑を湛えていて、何を考えているのかわからないところがあってね。それとウリエルが言うには、人間という入れ物に入っているだけで彼は人間ではない、とのことらしいんだ。そして彼は生まれたときから全ての未来が見えており、ただ1つだけ僕との戦いの結果が見えなかったため、ずっと僕に執着していたんだ。」
「執着?」
ケンタウロスがミカエルに聞いた。
「そうさ。彼は人間を滅ぼしてこの世界にただ1人生き残ることが目的だったらしい。でも聖天使として覚醒した僕が倒したんだ。彼は倒さなくてはいけなかったからね。だって人間を滅ぼすなんてあまりにも残酷過ぎるよ。確かに僕だって悪魔狩りの名誉はある。でも欲深いと返って大変なことになるからね。」
ミカエルの言葉に3人は頷いた。
「それでリリスっていうのは誰なの?」
ウンディーネが眉を潜めたのでミカエルは彼女について詳しく話した。