
第7章 恋の策謀事件(下)

「お前は一体誰だ?」
ウンディーネが短く叫び声をあげた時暗、闇はなくなっており辺は薄暗くなっていた。
「ここはどこなの?」
ウンディーネは見覚えのない場所に不信感を募らせた。そしてウンディーネは自分の腕を引っ張っていた人物に恐る恐る
目を向けた。彼は流れるような金髪と紅い目をし頬に大きな傷を持つ容貌で、強力な魔法のかけてある黒い鎧を纏う青年だった。
「お前は一体誰だと聞いてるんだ?」
彼はウンディーネを壁に押し当て皮肉たっぷりに聞いた。
「人に・・・名前を聞く時は自分から名乗る者です。先生が言ってました。」
ウンディーネは顔を強ばらせて言った。
「先生って誰だ?」
この時しまった!とウンディーネは身震いした。この人は悪魔なのだろうか?いや、そうだ。見たことも無いし、学校の生徒とは思えないからだ。
「まあ、いい。俺はミカエル・ラージネスって言うんだ。君は?」
正体はまだバレてはいないようだ。
「お願いだから私のことは秘密にしてくれる?なんて悪魔のあなたに言っても無駄よね。私はもうおしまいなんだわ。でもあることを成し遂げるまでは私はまだ死ねないの。」
「おしまい?何故そう言い切れる?」
ミカエルはウンディーネに聞いた。
「だってあなたは私の知らない人。悪魔なんでしょう?・・・だから怖いの。学校のワル達は散々見てきたけどあなたは見慣れない人だから私のことを話していいかどうかわからないわ。」
ウンディーネは涙を必死にこらえていた。
「ワル達?お前はサタン達の仲間か?」
「仲間っていうか・・・ごめんなさい。これ以上は言えないわ。」
ウンディーネはミカエルから去ろうとした。しかし彼がそれを止めた為逃げることはできなかった。
「わかった。明日の会議に出たいんだろう?俺を信じてくれるって言うんなら明日の会議の証明書を手配してやってもいいぞ。その代わりに君の名前を聞きたい。」
ミカエルはウンディーネが去って行く前に条件を突きつけた。
「そ、そんなぁ。本当なの?」
ウンディーネは戸惑いの色を隠せないでいた。
「俺を信じろ。確かに俺は悪魔だけどそこらの悪魔とは違うんだ。」
ミカエルは真剣な目をウンディーネに向けて彼女の手を強く握った。
「じゃあ、私の正体を誰にも言わないでくれる?でないと私は殺されちゃうの。」
「ああ、もちろんさ。でも誰に?」
ミカエルは彼女に真剣に聞いた。
