第1章 瞳の先
え゛……………??!!
「え、えと……」
主将は困った様にはにかみながら、ばつ悪そうに頬を掻いた。私の気の所為か僅かに顔が赤らんでいる様に見えた。ヤバい私も顔が茹蛸みたいになってしまう。
「そ、そうかも、な?アハハハ」
「笑いごとじゃないですよぉぉぉおおおおおお!」
日向が半泣きで主将に詰め寄る。主将は何とか宥めようとする。だがそこに同じく半泣きな田中先輩が加わり、さらに場は悪化する。
影山さんは何故か、ムッとした顔で私を見詰める。何で????
困った主将は瞳を彷徨わせる。主将は西谷先輩に目を止めた。
「ホラ日向、影山!西谷紹介するよ!!」
あ、話を逸らした。上手いな主将。
すると日向はピタリと主将を責め立てるのをやめて西谷先輩へと歩み寄る。日向はじっと西谷先輩を見詰める。西谷先輩も訝しげに眉根を寄せる。次第に日向の瞳が見開かれていく。それと同時に日向の口がわなわなと震える。
「お、お、俺より小さいッ……??!!」
日向、お前……。
何となく嬉しそうな日向に思わずホロリときてしまった。この部は1年生でも問答無用で背が高いからなぁ…。
「あ゛あ゛!?てめぇ今なんつったァコラァッ!!!」
嬉しそうな日向とは対極に、西谷先輩は般若の顔で日向に怒鳴る。田中先輩は苦笑気味にまぁまぁと西谷先輩の肩に手を置いた。日向は西谷先輩の勢いにビクッと体を震わせる。
「あっ…ごめんなさっ…」
日向は怯えながら謝罪を口にした。日向って凄い事言うのに怖がりなのな。日向はゴクリと息を飲み、口を開いた。
「あのっ!」
「ア゛!?」
「身長…何センチ…ですか…」