第1章 瞳の先
「可愛いな…」
「「「「?!」」」」
爆 弾 発 言 。
『すいません今何て言いましたか?』
その場にいた人全員そう聞きたかっただろう。日向、影山さん、田中先輩、西谷先輩、灰髪の先輩も、主将の突然のビックリ仰天爆弾発言に唖然としている。
私は『主将はどうされたんですか?』みたいな顔で日向に視線を向けることしかできなかった。日向は老人性の震えレベルでガクブルをしながら私を見つめ返す。
ちょっと誰かこの状況説明してください。灰髪の先輩が主将に生気の抜けた表情で声をかける。
「大地…?お前、どしたん……?」
「えっ?俺なんか言ったか?」
「言ったよお前今凄いこと!!」
再び主将のビックリ発言に先輩が悲鳴のようなツッコミをいれる。それに続いて青白いレベルで真っ青な顔の田中先輩も叫んだ。
「大地さん瀬戸に、か、か、かっ、可愛いって言ったじゃないスか!!」
「え!俺そんなこと言ったのか?」
「言ったじゃないスかああああああぁぁぁぁあああああああああああ!!」
今にも泣きそうな田中先輩が放心状態な日向に抱き付いて叫んだ。私も心の中で叫んで落ち着くか。う、うわああああああああああああああああああああああ!!
…よし落ち着いてますん!結論、ちっとも落ち着いて
ない。さらに灰髪の先輩が私の心を掻き乱す事を口にした。
「大地、まさか、無意識で瀬戸に可愛いって、言ったの…?」