第1章 瞳の先
「田中も西谷も、君が来てくれて相当嬉しいんだ。もちろん俺も」
「……!」
主将(仮)さんの言葉に目を見開いた。田中先輩や西谷先輩の反応を見るに凄く嬉しく思ってくれているのだろうと思っていたが、面と向かって告げられると照れてしまい、顔が熱くなるのを感じる。
「しかも可愛らしいしな!」
「?!」
「俺は3年の澤村大地。主将でウィングスパイカーをやってる!これからよろしくな!」
ちょっと待って。ホントにちょっと待って。主将さん(ホントに主将さんだった)今さらって凄い事言っちゃったよ。なのにそのまま自己紹介したよ?素ですかそれとも意図的になんですかどっちなんですかはっきりしてください。
「? どうかしたか?」
「あ、え、あ。いえ、何でもない、です。1年の瀬戸伊鶴です、よろしくお願いします…」
心の仲は大混乱状態だが無理矢理平静を取り繕って自己紹介をして一礼する。
主将さんは…。さん要らないな。主将って呼ぶ方がカッコいいですね、切実に。主将はニッと子供の様な無邪気な笑顔を咲かせる。
「瀬戸か!これから大変だけど一緒に頑張ろうな!」
「は、はいっ!」
自分なりのキリッとした返事をしてみる。あ、声上擦ってしもうた…かも。これは恥ずかしい。
主将は何故かじっと私を見ていた。え、やっぱり上擦った?いっそ笑って頂きたいのだが、依然主将は眉一つ動かさず私を見詰める。私は疑問を抱きながらも主将を見詰める。すると、主将がポツリと呟いた。