第2章 “エース”を連れ戻せ
「俺、お前のした事でしゃばりとか思ってないの、本当だから」
「へ・・・?」
「瀬戸、今日も菅原さんと説得しに行ったろ」
「! どうして分かったんですか・・・・」
「今日も菅原さんと一緒に来たから、そう思った」
探偵か。
影山さんの推察力怖いを通り越して感心してしまう。
「やっぱ自己満足じゃ、そんなん出来ないだろ。だ、だから・・・・・・・・~~~~ッ!」
「?」
影山さんの言葉が突然止まる。その代わりに、影山さんの頬が赤くなり、唇を噛み締めている。
「か、影山さん?どうしたんで、」
「もう自分責めたりするなよっ!?良いな!!」
「!!」
影山さんはビシリと私を指差して言い放つ。影山さんはやりきったように息を吐いている。この言葉を伝えようとしていたのだと理解する。どこか照れ臭くて渋っていたのに、ちゃんと伝えてくれた。その純粋な気持ちが嬉しい。重い枷が外れた様に、胸の蟠りが晴れていく。
「ありがとうございます、影山さん・・・・」
「!! 別に、気にすんな!」
影山さんは勢い良く顔を逸らし、日向達の所へと駆けて行ってしまった。
でも、影山さんが私の想像していた人物像と大きく異なっている事が分かった。不器用だが、彼は優しさを持っている。まだそれしか彼の事は分からない。でも、それだけで十分嬉しい。きっと仲良くしていける。そう思うと、フッと口元が緩みそうになる。
おおっといけない。緩まないように早くボールとか準備せねば!
――――体育館倉庫へと向かう足取りは、軽かった。