第1章 瞳の先
「瀬戸と一緒でお前ら1年か!!」
「「オス!」」
元気一杯に二人が返事する。西谷先輩が学ランを肩に引っ掛けている方の腕を動かし、影山さんを指差した。
「さっきのサーブの奴!そのデカくて目つきの悪い方!」
的確に言い過ぎです先輩。
指された影山さんは、はい?と言いたげに首を傾げる。日向も自然と影山さんを見上げた。西谷先輩は豪快な声量のまま影山さんに問い掛けた。
「お前ドコ中だ!!」
「…北川第一です」
「まじか!強豪じゃねぇか!!どうりであのサーブか!俺、中学ん時当たって2対1で負けたぞ!」
「え、そうなの!?」
「おう!そん時もサーブ凄ぇ奴居てよォッ!!」
嵐の様な勢いで捲し立てる西谷先輩に影山さんは引いていた。あの日向ですら引いてる…。そこに田中先輩も合わさり嵐は加速する。体育館超反響してるんですけど。
「声でかいなあ」
「相変わらずうるさい」
「相変わらず…?」
主将と先輩の朗らかな呟きに思わず反応してしまった。それに気付いた先輩が爽やかな顔を向ける。…
「うん、西谷はいつもあんな感じなんだよ」
「そ、そうなんですか。てっきり新入部員がいるからなのかと…」
「アハハッ、それもあるかもねー」
先輩はどこか嬉しそうに微笑んだ。うわぁこの人はお兄さんになって欲しい人ナンバー1ですわ。先輩は不意にハッと思い出したように口を開いた。
「そういや俺瀬戸に自己紹介してなかったね!俺は3年副主将の菅原孝支。ポジションはセッター!よろしくな!」
「こちらこそよろしくお願いします」
腰を折って菅原先輩に一礼した。少し間を空けてから上半身を上げる。
────────────ゴンッ!
と、突然頭に衝撃が走った。