第13章 ★狂い出す歯車★
〔花宮真〕
昨日の試合でうざってえ木吉を潰してやったのになんだか腑に落ちねえ
しかも今日は雨だし最悪だな
くそが....
部屋で読書していた俺は窓に打ち付ける雨を見ながらそう思った
そういや、零蘭のところ、決勝だったな...見てねぇがまあ勝っただろうな
なんせあの零蘭があそこまで信頼をおいた奴等だ
それに、あいつらはキセキの世代なんて呼ばれてるからな
だが気に入らねえ...元々天才も秀才も壊れりゃガラクタだっつー考えを持つ俺にとっちゃあキセキは、当たり前だが好意を持つてるわけじゃねえ
なによりも零蘭が信頼をおくってのが一番の気に入らねえところだ
ただの嫉妬なんだろうがな...
零蘭...昔から遊んでやった妹みたいな奴
今じゃそんなのはこれっぽっちも入ってねぇよ
今あいつに向けるのは明らかな愛情
女としてあいつが好きだ
近いうちに、直接また会ってみてぇな
なんて考えていた俺は携帯のバイブで我に返った
花宮『噂をすればなんとやらだな』
恐らく優勝の報告だろうな...
なんて思ってた数秒前の俺を殴りたい
花宮『んだよ零蘭。優勝報告なら言わなくていいぜ』
『...けて』
花宮『あ?』
『助けて、助けて兄さんっ!!』
花宮『!!?おいっ零蘭!!今どこだ!?』
『...家』
花宮『今すぐそっちに行く!そこ動くんじゃねえぞ!!!』
俺は急いで家から飛び出し傘を片手に降りしきる雨の中ひたすら零蘭の家へと向かった
くそっ!
零蘭っ!!!