第13章 ★狂い出す歯車★
久しぶりに来た零蘭の家、だが懐かしさに惚けている訳にもいかず、家に上がった
零蘭の執事に事情を説明して部屋へと案内してもらった
バンッ!!!
花宮『零蘭!!!っ.....!』
ドアを勢いよく開け放つと、零蘭はベッドでうずくまっていた
急いで駆け寄り体を起こす
花宮『おい!!何があったんだよ!しっかりしろ!』
『兄さんっ....』
腕の中のコイツは全身震わせて、この世で最も弱い生き物のように見えた
花宮『怪我は!?』
『大丈夫、そういう事じゃないから』
花宮『...っ、そうかよ。だがなんかあったんだろ?全部話せ』
『っ、うん』
それから俺は黙って零蘭の話を全て聞いた
だが聞けば聞くほど腹が立ってくる話だ
あいつら、零蘭がテメーらのためにどんだけ寝る間も惜しんで毎日メニュー作って、好みに合わせてドリンク調節したり、ケアも完璧にこなして...
今までの時間、何のために全てテメーらに預けたと思ってんだ
こいつはちょくちょく連絡してはテメーらの事ばっか話しては
『皆良い人達なの、私すっごく幸せなんた♪』
なんて腹が立つほどテメーらのこと、誇りだとか自慢のチームとか言わせてた零蘭を....
自惚れんのもいい加減にしやがれ...
俺はな、人の不幸は蜜の味だってよく言う
だが、零蘭は別だ
こいつには幸せになってもらわなきゃ困るんだよ
親をなくして、金目当てのやつらに虐待されて、それでも必死に足掻いてきた。唯一の味方の執事と当主になって、絶対大人に負けねえって泣き言一つも言わなかった
そして中学でやっと心から落ち着ける居場所を手に入れたって、俺も安心してたのによ...
なにがキセキの世代だ.....ふざけんじゃねえ...
来年から覚えておけ、俺が全部ぶっ壊してやる
こいつをここまで絶望させた礼は、ちゃんと返さなくちゃな?