第13章 ★狂い出す歯車★
結果は零蘭ちゃんの圧勝
皆はその場で荒くなった息を戻そうと座り込む
あの赤司君でさえも全く歯が立たない
そんな彼等を零蘭は軽く息をはきスッと見下ろす
『悪いけど、こんなのまだ私の本気じゃないわ....少し自分の力に溺れすぎじゃないかしら?そんな実力で強いと思ってるなら見損なったわ』
冷たく言い放った....
そしてそのまま体育館を出ていってしまった
私は慌てて後を追いかけ、声をあげた
桃井『零蘭ちゃん!待ってよ!』
『....ねぇ、』
桃井『どうしたの?』
『どうしよ...私絶対嫌われたよね?あんな酷いこと言ってさ、皆のこと考えもしないで』
桃井『そんなことないよ!皆零蘭ちゃんが大好きだよ?会場でも零蘭ちゃんが出ていったあとにだって...!!』
『でもっ!!!』
桃井『(ビクッ!)』
『私は彼等を止めることができなかったっ...!!何もしてあげられなかった...辛いのはあの子達なのに』
うっすらと涙を浮かべる零蘭ちゃんを見ていられなくなって、そっと抱き締めた
いつも彼女がやってくれていたように...
桃井『辛かったよね....泣いていいんだよ?』
『っ.....ダメ、ダメだよ...』
そう言って私から離れる
『私は笑っていなきゃ、ね?』
溢れ出た涙を拭うことなく儚い笑みを浮かべる零蘭ちゃん
なんて綺麗で、悲しいんだろう
ありがとう、と一言呟くとそのまま走っていってしまった
〔白崎零蘭〕
必死で走った、走って走って家に飛び込んで朔夜の制止の言葉も聞かずに部屋へ入ってベットに倒れ混んだ
もう何が悪くて何が悪くないのか分からない
絶望....
それが私の頭に浮かんだ言葉だった
苦しくて、苦しくて
今すぐ誰かにすがりたくて、気がつけば携帯を手に『彼』へと電話を掛けた
『助けてっ....助けて兄さんっ!!!』