第9章 計算と本音【澤村 大地】
『-でね、お母さんがそのとき
って、聞いてる?』
過去のことを思い出して
ボーッとしていた俺の腕を
グイッと抱きしめるように引っ張る□□
(胸が当たって…//)
もちろんこれも計算だ。
「あ、あぁ聞いてる。
…おっと、そういえば、
そろそろ大会が近くて
部活が忙しくなりそうなんだ。
また、我慢の生活になるが、
大丈夫か?」
俺の腕を掴んで離さない彼女を
見下ろしながら問いかけると
『えーーっ、
やだけど…//がんばる。』
と、ガッツポーズをする。
俺の言葉に一喜一憂して
本当に可愛い。
可愛いと言って
頭を撫でてあげたいが、
また甘やかして調子に乗らせると
痛い目を見るので我慢、我慢。
「テニス部も大会近いだろ?」
『うん…お互い頑張ろう!』
本当は大会見に来て欲しいんだけど、
彼女は彼女で
テニス部の部長で忙しいからな。
こんなだけど、
部活はホントちゃんとやってんだよな。
ある日、菅に誘われて
テニス部の大会を見に行った。
団体戦で優勝した彼女は
表彰式でトロフィーを受け取っていた。
その姿をみて
俺も頑張ろうって奮い立った。
何より彼女の凛々しさに
虜になってしまった。
(あのとき…かっこよかったな…//)
『ねぇ〜!
休み時間終わっちゃうよ?
ちゅーしよ?ね?』
こんなに甘えん坊だとは思わなかったが。。
「しません!
ほら、早く教室もどんなさい。」
『うぅ…』
しょぼんとして
自分の教室に歩いていく彼女。
俺はその背中を見送って
教室に戻った。