第3章 大きな過去と小さな現実
白川側
僕はドアを静かに閉めたあと先ほどの木に登った
部室から仁王君が勢いよく飛び出した
周りを焦ってキョロキョロしている
だけど、虚しそうに部室へと戻って行った
僕はそれを見越して木から降り帰路へと走って行った
僕はなんでこんな事をしているのだろうか
幸村側
幸「どうだった?仁王」
仁「駄目じゃ、逃げられたぜよ」
仁王は椅子に座った
仁「そんで参謀、質問の回答はどんな風に返ってきたのだ」
蓮二はノートをかなり見つめている
真「蓮二?」
柳生「柳君?」
柳「......意外と面白い回答がきた」
蓮二は少し難しい顔をしている
柳「俺はノートを貸したヤツ白川に質問をした。質問内容は〈お前は何者なんだ?〉と」
蓮二がそんな事を聞くなんて事はない
それだけ謎の人物なんだ
幸「それで、回答はなんだのかな?」
柳「回答は......〈あなた方が思っているよりも、冷酷で無慈悲な存在です〉と」
皆の顔から緊張が出た
柳生「冷酷無慈悲、ですか」
幸「ますます、興味が湧いたよ」
それから俺達は解散した
白川側
昨日は柳君にノートが返す事ができた
しかし、あんな渡し方では失礼なので
今日、改めてお礼をしなければならない
正直、会いたくもないんだが
一緒のクラスなので嫌でも会ってしまう
僕は教室で読書をして待っていた
外に目をやると多くの部活が走っている
今頃は朝練の時間だ
僕は目を本に戻した
しばらくすると朝練に行っていた人たちも集まりだした
どうやら朝練が終わったようだ
僕は隣の人がいないか確認した
まだ来ていないようだ
あと15分で朝のSTが始まる
そんなことを思っていると教室の後ろの扉が開いた
柳君だ
柳君は僕の隣に座った
僕は読んでいた本を閉じて柳君に顔を向けた
『昨日はノートを貸してくださってありがとうございます。お礼の言葉がまだだったのでここで言わせてもらいます』
柳「ああ、別に構わない」
僕は言いたい事が終わったので前を向いた
柳「白川」
『はい、なんでしょうか?』
僕はもう一度柳君を見た
柳「昼になったら少しいいだろうか?」
昨日の事もあるし
『わかりました。昼ですね』
柳「ああ」
何があるのか