第15章 殺人鬼
父「中学は誰も届かない所でと思いアメリカへ向かわせた。そこでも裏目にでて今度はテニスを奪われた」
ジャ「不幸、なんてもんじゃねーな」
父「アリィを目の前で殺されてね」
上風「そう言えば、氷月の両親は?」
父「......」
上風「父さん?」
父「氷月の両親は」
?「殺しました」
「「!!」」
父「氷月...」
布団に包まれたまま目を開ける氷月は先ほどとは違った
じゃが今までの雰囲気も何処か奥深くへ消えてしまったようじゃ
『1つ目の村で生き残った両親は不運な事に2つ目の村にいました。男達は僕に命令しました。「最初のターゲットだ」と。暗殺者になるには自分を殺さないといけないから』
淡々と平然と口から零れる言葉は重いはずじゃ、なのに
『最初は抵抗しました。けど、施設にいる同じ村から誘拐された子供達を盾に殺せと命じた。両親の前に立って銃口を向けた。両親は「それでお前を守れるなら殺してくれ」と言った。僕はその時から狂った。迷わず引き金を引いた』
「「......」」
『次の村も、また次の村も。子供達を誘拐しては施設での訓練。寝る時間なんてなかったし、食事制限もあった。その事に慣れているため、食事は喉を通らない日も少なくなかった』
仁「氷月...」
『明日が欲しいために戦って勝ち取ったのに、まさか少しの虐めだけで自分から手放すなんて、馬鹿げていますね』
母「氷月...」
『優真、解いてください。自殺願望は押さえられますが無意識に向かってしまうかもしれません。その時は、止めてください』
上風「わかった」
優真は静かに立ちあがると氷月の拘束を解いて行く
上体を起こして後頭部を摩る、と言うか腫れておらんか?
『すいませんが今日は寝ます。朝の仕事のために』
フラフラと立ちあがりおぼつかない足取りで自分の布団に向かう
『おやすみなさい』
襖を閉じて少しゴソゴソと聞こえた後、何も音がしなくなった
テーブルを片付けて布団を敷き直し皆はすぐに眠りに入った
氷月の事が気になってしまう俺は眠れんかったが
ズボンのポケットに入っておったブレスレットに触れると
不思議と不安が消えて行き、いつの間にか眠っていた