第14章 冬休み
部屋の角で壁に体を預けてイヤホンで音楽を聞いておる
そこではクロもシロも安心して遊んでおるようじゃ
時々、目を開ければ子猫を撫でてまた目を閉じるの繰り返し
ただただ心底疲れたような顔をしながら力なくその場に居った
父「なんかあったかい?」
母「背中の事でね」
父「...今度からは最後に入ろう」
母「はい」
背中の事
あの青痣のじゃろう
白く美しい肌に敷き詰められた青い痣
事故でおった大きな腕の傷
それをほかの客に見られてちょっかを出されたんじゃろう
幸「虐められていた時の傷でも?」
母「あの子、肌は綺麗なんだけど綺麗過ぎてね。背中には無数の青痣があるのよ」
真「痛みとかは?」
母「特にないのよ。痛みに鈍感になってしまっていてね、大怪我のレベルじゃないと自信の体の事がわからないのよ」
父「小学生の時も中学生の時も暴力を受けていると、その痛みに慣れてしまいわからなくなるんだよ」
柳「風呂場で精神的ダメージが大きかったのだろうな」
その後晩飯になるまで氷月はそのままを繰り返し
飯を食い終わると風呂掃除へと向かう
切「熱っ!丸井先輩、お湯をかけないでくださいッス!」
丸「乾燥ワカメを戻しているだけだぜぃ!」
切「なんだとー!」
ジャ「掃除しろって!」
仁「反響して煩いナリ。柳生、眼鏡が曇っとるぞ」
柳生「これは元からです。仁王君も掃除をしたまえ」
真「さっさと仕事をせんかぁぁーー!!」
幸「真田、煩いよ」
柳「このまま行けば20分で終わるな」
父「賑やかだねー」
上風「人数がいるのに作業効率がヤバい」
大浴場でお湯のない風呂を見るのは初めてじゃ
意外と底が深いんじゃな
デッキブラシでひたすら床を磨き
スポンジで風呂桶を洗っていく
蛇口や椅子なども洗い、最後に水分を失くすために水切りして終了
しかし広いナリ
『遅かったですね』
上風「なんで氷月の方が早いの?」
『なんででしょうか?』
女湯は氷月1人のはずなんじゃがのう
『僕は3人でやりましたけど』
父「えーっと、沙織と都美子と氷月か?」
『はい』
なんなんじゃこの差は
父「沙織は都美子の友達さ。2人は?」
『飲みに行くと1階のバーへ行きました』