第13章 テニス
仁「吹雪いてきたのう」
昼になり少し過ぎたところで雪が降ってきた
氷月はまだ目を覚ましていない
これ程までに寝ておると少し心配になってくるぜよ
1人の昼ご飯を終え、テーブルで何杯目かのコーヒーを楽しむ
自分の部屋から課題を持ってきてやったり
時々寝室へ行き、ベットに腰かけて見たり
やる事がこれだけないと暇である
...寝ておる時でも無表情の氷月が気になって仕方がない
レインの言葉で俺は不安になってしまう
〈そうやって教育されたのよ〉
一体どんな生活を送っておったんじゃ
本当の両親も分からず、不安だらけの世界で生きておる
人に怯え、人を嫌い、人と過ごす
それだけでも怖いはずなんじゃがのう
そして、もう1つ
〈彼女の心は闇に浸食されている〉
どう言う意味なんじゃ
意味自体は分かる、じゃが何時から浸食されておったんか
どうしてじゃ
見ておる限りでは氷月は心を開いてきておる
他人口調が最近では時々なくなっている
寝ておるのは防衛本能なのか?
......防衛本能?
何故、俺は今そんな風に考えたんじゃ?
考えるんじゃ、まだ推測も立てておらん
感情が生成されなかった理由は「教育」のせい
ならその教育から外れた今では感情は生成されておるのか?
...わからん
感情を表に出す事が殆どない氷月に
今の心情を尋ねる事もできん
『...何をお考えになっているのですか?』
仁「...!、何時から居ったんじゃ...」
『5秒前です』
思考の海から戻ってこれば目の前に氷月が座っておった
寝癖のついている髪をブラシで直しておる
まだ目もパッチリと開いておらん寝ぼけた顔をしておる
『あ、学校...』
時計に視線を移しておる氷月が気づいたようじゃ
仁「安心しんしゃい。俺から柳生に言っておいたナリ」
『それでは仁王君は?』
仁「俺も休んだぜよ。行くのが面倒だったんじゃ」
『...よくそれで今まで学校に行けてましたね』
仁「幸村が怖いからのう」
『...不思議と納得します』
ブーブー
携帯のバイブじゃ
画面を見れば柳生からのようじゃ
仁「なんじゃ?」
幸「今、俺の悪口が聞こえた気がしてね」
...マジか、何故柳生の電話でくるんじゃ