第13章 テニス
前までは数えられる程度の数しかなかった真っ暗な空間に
今では真っ白な光が下を埋め尽くし
上には色とりどりに大きく輝く光が浮遊しておった
レ「彼女、変わった?」
仁「ああ、だいぶ変わったぜよ」
レ「良い風?悪い風?」
仁「そうじゃのう。まあ再開した時を比べれば良い風になったかもしれん」
レ「フフフ、よかったわ」
無邪気に笑うレインの手首には見慣れたブレスレットがはめられていた
仁「お前さん、それ」
レ「これですか?陽がくれたブレスレットです。陰は大切に今でも持っています」
仁「じゃが、一度も見ん」
レ「失くしたくないからこそ、大切にしまっているのです」
仁「なるほどのう」
白いブレスレットは俺の持っておる物と風んに色違いの物じゃった
模様も大きさも数も一緒、違うのは色だけ
陰が俺よりも先に住んでおった場所から離れるため
俺の両親が海外で買ったという
俺達の髪の色に合わせてかったきたそうじゃ
銀髪も水色の髪もそうそうおらん
まして日本で水色の地毛を持っておるのは陰だけじゃと思う
俺の場合は染めたからな、銀なんて他にもおるじゃろうな
レ「彼女の心は闇に浸食されている」
無邪気に笑っておったレインの表情が一転し
真剣な表情で見つめてくる
苦笑を漏らしておった俺の表情も自然と強張ってしまう
レ「過去を思い出している。けど、その過去に縛られているが故に彼女は己の闇に浸食されているわ」
仁「例えば、「アリィ」の話か」
レ「そうね。でも、それよりももっと辛い事があったのよ」
仁「もっと?」
レ「彼女の表情が、感情が欠落し始めたのは「アリィ」の事からではないわ」
仁「...なんじゃと?」
レ「彼女の感情は欠落したのではなく、元から生成されなかったのよ」
仁「......」
レ「勿論、欠落したのもあるけど、それよりも誰もが抱く感情すらも生成されていないのよ」
仁「病気かなんかじゃったんか?」
レ「いいえ」
仁「なら...」
レ「彼女はね、そうやって教育されたのよ」
仁「!!」
勢いよく起き上がれば日は出ておった
最後のレインの言葉を真実と受け止めるのなら
氷月は小さい頃、どうやって生活をしておったじゃろう
隣で寝ておる氷月は熟睡しておるようじゃ