第13章 テニス
氷月の部屋に入り寝室に直行する
ベットに優しく座らせる
枕元にはパジャマが置いてあった
仁「着替えんしゃい。俺は外におるき」
『...わかり、ました』
顔面蒼白な氷月は体に重りがついておるのではないかと言う程の動きをしておった
部屋を後にして俺も部屋着に着替えてくる
仁「入るぜよ」
ノックもせずに入ったのが悪かった
『え...』
仁「あ...」
背中をこちらにむけ上半身を露わにしておった
幸いにも下はすでに着替えておった
じゃが、俺はそれを見て胸が締め付けられた
仁「お前さん...」
綺麗な白い肌の背中にはこれでもかと思うくらいに青痣が敷き詰められ
右肩と肘の間に大きな傷跡があった
俺はすぐさま後ろから抱きしめた
3年間耐えてきた痛みであり
アリィを守ると頑張った背中
女性にしてみれば顔を引きつるような背中が
これ程までに大きく感じ、そして
愛おしいと思った
少し離れて背中に触れてみる
触れてみてわかるが相当凸凹しておった
仁「痛いじゃろ?」
『今ではあまり感じません』
仁「痛みに鈍感になったんか?」
『...元から鈍感でした。痛いと思った時はいずれも大怪我のものですから』
仁「すまん、着てくれ」
『はい』
俺は氷月を離し服を着る
最後まで背中の痣から目を離す事はできんかった
仁「熱はないようじゃな」
『ご迷惑をお掛けしました』
仁「今日は出て行かんと思ったんじゃどけな」
『すいませんでした』
仁「謝らんでもよかよ」
『あの』
仁「?」
『昨日に続いて今日もですか』
仁「別にええじゃろ。減るもんでもなか」
俺は昨日と同じようにベットに入り込んでおった
『明日、学校ですよ?』
仁「わかっとる」
微かに震えておる体は冷たく、恐怖に怯えているよりかは
寒さを耐えているように見えてしまう
腕を伸ばし氷月の体を抱き寄せる
両腕でしっかりと包んでやれば氷月の目は一瞬だけ見開かれ
体の震えが次第に止まっておった
暫くすれば規則正しい呼吸音と寝息が
俺の眠気を煽り、そのまま夢の中へ落ちて行く
レ「こんばんわ」
仁「レインか」
久々に来たこの空間
氷月の心を具現化した世界
周りは前と違った