第11章 赤
白川側
同じ夢を見て叫びながら起きた自分は
隣で添い寝をしてくれている仁王君だけではなく
幸村君、柳君、柳生君の存在に気が付いた
『どう、して?』
柳生「仁王君から電話がありまして。栄養ドリンクだけでもと」
幸「そして、部の部長に電話をして俺から柳に電話をかけたんだ」
柳「大人数で入ってきて悪いな」
『いえ、大丈夫です。それよりも皆さんにうつらないかが』
仁「無駄に練習しとらんナリ。これくらいは大丈夫じゃ」
幸「まあ、うつったら練習を増やすだけだけどね」
柳生「幸村君...」
柳「白川、少しいいか?」
『はい。なんでしょうか?』
目線を合わせるために上体を起こそうとするが
仁「寝とらないかんぜよ」
『ですが』
柳「そのままでいい」
『わかりました』
仁王君と柳君に止められてしまい、再び横たわる
柳「お前は中学の時、少なくともアメリカに行った事があるか?冬の時期に」
『...誰からお聞きに?』
柳「お前がうなされている時に聞こえた「アリィ」と言う単語で思っただけだ。そして仁王から夢の内容についても聞いた」
『はぁ...、中学の時はアメリカで過ごしていました。父に聞けば「小学生の時に虐めを受けていた」と言う事で日本から遠ざけたかったと言っておりました』
幸「じゃあ、アメリカの中学を転々と?」
『はい、そこは父の仕事の都合などですが』
柳生「「アリィ」さんとは、どう言うつながりで?」
『...通っていたテニススクールの同期、親友です。テニスの出来る場所が限られていたので仕方なく入ったんです。コーチは基本つけませんでした』
仁「もうええじゃろ。今はコイツの休息が必要じゃ」
柳生「そうでしたね。すいません、好奇心で聞いてしまい」
幸「俺も悪かったね。しっかり休むんだ」
柳「俺もすまなかった。体調には気を付けるんだ」
『...はい』
優しい方々だ
こんな自分が甘えてもいいのだろうか?
否、甘えてはいけない
彼らの行為には嬉しいが、僕は僕の罪滅ぼしの最中
甘えを捨てろ、周りをよく見るんだ
「アリィ」のように優真が死なないためにも
人間、いつからは裏切るもの
彼らもいつかは、いつかは...
なんでだろう
彼らを見ていると、裏切らないような気がするのは