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古きパートナー

第10章 知らないフリ


仁「やっぱお前さんか」

『寧ろ、すぐにバレると思っていたんですが』

仁「取りあえず着替えんしゃい、そのままじゃ風邪を引くぜよ」

『それでは、ソファーでくつろいでください。その間に済ませますので』

仁「了解ナリ」

彼がしっかりとソファーに近づくのを見て

僕は寝室に入った

そこから着替えを引っ張りだしバスタオルを持ってシャワーへと向かった






仁王側

流石に帰り道までも一緒じゃとわかってしまうナリ

昨日一緒に打ったからこそわかった

あの球は昨日と一緒で押さえて打っておる事が

ラケットを握る利き手が違うだけ威力が変わったのには驚いたぜよ

左よりも右の方が高かったナリ

シャワーの音が聞こえてくればアイツは今頃頭を洗っておるじゃろう

台所へと向かい勝手にコーヒーセットを引っ張り出す

仁「本格的じゃのう」

俺のよりも少し安い物じゃが

これであの味が引き出せるのは白川の腕が大きく関わっておるな

豆を挽いてコーヒーを2つ分淹れると

『何をしているのですか?』

仁「すまんな、コーヒーが飲みたくなってのう」

『構いません』

髪を拭きながらソファーに座る氷月を見ながら

コーヒーを持って隣へ座る

仁「ほれ」

『ありがとうございます』

仁「ん」

タオルを肩に掛けてコーヒーを啜る

『美味しいですね』

仁「お前さんより劣るがのう」

『どういたしました』

コーヒーをテーブルに置くのを見計らい

俺は強引に氷月の右腕を取った

『ッ』

一瞬だけしかめたのを見逃さん

長袖から見えた白い細い腕は赤く腫れておった

仁「無理して打ったんか」

『ええ、自分でも出来ると思っていたんです。過信しすぎました』

持ってきて居った湿布を取り出してそこへと貼った

『仁王君』

仁「黙っときんしゃい」

『......』

コイツはすぐに言う事を聞いしまうナリ

言われるがまま、されるがままにしておる氷月は

自分の腕を引っ込めて下を見る

仁「楽しそうに見えたぜよ」

『それは優真と皆さんのお陰ですよ』

仁「打ち合いを締め切ったのはお前さんが」

『はい、怖くなりました。見ている人が増えて恐怖が押し寄せてきたのです。だから無理やり終わらせました』

コイツは何処までも素直じゃ
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